大嫌いが変わるとき

怖い奥さん

シカは最後、主人公に射殺されます。
私は、このシカと全く同じ目にあいました。
私が賢いかどうかは別として、私は精神病で、普通の人よりもドーパミン(脳内伝達物質)が多いです。
人の心の奥底が読めたりします。

私が好きになった人の奥さんが、友達を超えるほどに心の通じ合う、私とご主人を見て、激しく私を憎んでいるのがわかりました。

私が、隣にその家族が住むことに耐えられなくなって、家出したとき、奥さんが、「このままマキさんが自殺してくれたらいいのに」と考えている心まで見えて、私は自傷しました。


旦那さん

私と旦那さんは、愛し合っていました。

しかし、私は今、その旦那さんが、気持ち悪くてたまりません。
「大嫌い」です。

しかし、私はきっとこの世での最期に思い直すのです。
ああ、かわいそうに。

シカは、「撃たないで」という目をしますが、大好きだった主人公に撃たれます。このシカも、「どうして?どうして?」と思いながら、銃弾を受けています。

でも、やっぱり、かわいそうな人、僕を撃つしか正義を貫く方法がないんだね、と思っているはずです。

私も、結局は奥さんにまかれた私の根も葉もないでっちあげの精神病患者への差別話によって、故郷を離れるしかなくなった。旦那さんは、これ以上マキさんを好きな気持ちがあるのなら、子供を連れて出て行く、とキレる妻をなだめて、私に出て行って欲しいというしかなかった。

一人で異郷に住む私には、終わった恋しかなかった。あれが最後の恋で、私の命綱でした。しかし、何回メールをしても、旦那さんは怖い奥さんにケータイを見られるようで、返事ができなかった。

私は、銃弾を受けているみたいでした。

返事が欲しかった。

しかし、シカが今どこにいるか、精神障害者の私にだけわかったのです。

きっと、シカも、主人公を恨んだと思う。

大好き。大嫌い。の間で揺れたと思う。

でも、嫌いと思う以上に、罪を犯してしまった主人公を、誰よりも哀れんでいる。

そうだ、シカは、人を憎んで、殺して、でも、最後に自分の罪を知り、惨殺されたために、聖なる存在になったのだ。

私は、はっきりと、奥さんに言いました。
ご主人が主人が慕わしいのです。

しかし、奥さんは、「この結婚は諦めているから、マキさんには、子供を育てるのを手伝って欲しい。」とごまかしました。

しかし、私は、嫉妬を隠すと、ドロドロになっていくのを、この奥さんから見ました。

シカには、嫉妬はない、しかし、シカは、主人公の恋人を殺したために、主人公に射殺されました。シカには、ただ、人間は醜い、という気持ちがあっただけでしょう。

私にも、奥さんへの嫉妬がなかった。しかし、醜さはありありと見えた。たいていの人は、醜さにふたをする。しかし、大切なことは、自分の罪を知っているかどうかでしょう。

シカが聖なる存在になって、私の中に入って教えてくれたことは、

どんなに汚い人間を見せられても、「哀れみ」を持っていかなければならない、ということでした。

罪というものは、自分の心を知らないことによって生じます。

シカは、自分の罪を知っていた、だからこそ、自ら破滅したような気がします。

私は、この、ナダレというシカが、かわいい。私の中に生まれてきた、この、聖なるシカとともに、大嫌いで片付けようとした人の罪を、「聖」というものでほぐしたい。

嫌いで終わらせたら、このかわいい、今は私の心の宝物になってくれたナダレに、恥ずかしいです。


karinomaki
大嫌いが変わるとき
0
  • 0円
  • ダウンロード

2 / 4

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • ダウンロード
  • 設定

    文字サイズ

    フォント