私はもちろん、Y子さんの大事な人を誘惑するつもりなどありません。私にも一緒に暮らしている彼がいるし、彼女も、いつも、コウちゃんと幸せにね、と送ってくれていました。
しかし、女の勘とは鋭いもので、コウちゃんと仲良くね、と毎日のように言われて、「仲良し」と書いたスタンプを何回も送られるたびに、いやな気分がしました。マキは、コウちゃんとだけ仲良くしていればいいのよ、とY子さんが思っていたことが私の深層心理に伝わっていたのでしょう。
私は、Y子さんに、丁重に、もうラインはできない、あなたはじぶんの世界に私を入れる気がないようだから、とお断りのラインを送り、ブロックしました。
私は、確かに、友達は少ないし、Y子さんのように、子供や孫にも恵まれていません。だから彼女の恰好の餌食だった。しかし、私の勝ちです。
何故なら、私は哲学者だから。毎日たくさんのことを考え、悩みと向き合い、心の宝も持っています。私には、Y子さんのような、広い交友関係がないかわりに、「精神世界」と、本気で思ってくれる人が何人かいます。
この世では、男と女としてつきあうことは許されないけれど、心の恋人もいます。彼も大切です。
Y子さんはうすっぺらい人でした。考える、悩む、ということをせず、人生とたわむれているだけ、窮地に落とされる前のマリー・アントワネットのようですね。
こういう人は、恐ろしく逆境に弱いものです。また、逆境がないとしても、神様は、苦しみから完全に逃げた人として彼女をあつかうことでしょう。Y子さんは、とてもかわいそうな人なのです。
Y子さんに、サヨナラを言ったことで、私はまた強くなれました。生き方が決定的に違う人には、自分からサヨナラして、勝つことです。