悪魔と病気

望郷

でも、私がその悪魔の男を好きだったという事実は何があっても消せません。悪魔などを愛してしまったということは、大きな傷です。その証拠に、私はその男に乗っ取られた故郷が今でもなつかしい。

 

何があったのか手短に書きますと、私はその男と共謀して、いつか大金持ちになって資産を一緒に操ろうとそそのかされていました。私には、その男のずるさと悪さがかっこよく見えていました。しかし、その男は、自分と私が思いあっていることがばれたとたん、自分の資産と地位を守るため、私の精神病を利用して言い逃れたのです。私は、全てを病気のせいにされ、故郷を両親に追われ、精神病院に入れられたのです。

 

望郷。これは、大きな傷です。私はその悪魔を街から追い出してでも、故郷に帰りたい。しかし、新しい土地で得た幸せ。仕事を得て、支えてくれる看護師の所長さん、そして、いつもそばにいて細やかなメールをくれる彼氏。

これだけのものを得たのに、悪魔に心を汚されたことが消えないなんて・・・。

消えない傷はある

残念ながら、この世に消えない傷はあるというのが、私の今の答えです。でも、その傷のおかげで、私は、なにくそと思ってがんばれるし、こんな文章を書く原動力も得ることができます。

もし、心に消えない傷があるときは、「いやすための人生」を生き続ければいいのです。それが、真に深く生きるということです。

最後に、その男には、純粋な子供がいました。その子供は私になついてくれていたので、この言葉を残したい。父親が悪魔でも、あなたたちには関係ないと。

 

もし、本当にいい人間に育てば、悪魔を無間地獄からすら救うことができるかもしれない。

私の病気がひどかったときに、あんなにひどかった私の母は、私が真面目に働き、前向きになるにつれて本当にいいお母さんになってくれました。

karinomaki
悪魔と病気
0
  • 0円
  • ダウンロード

4 / 5

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • ダウンロード
  • 設定

    文字サイズ

    フォント