悪魔と病気

悪魔とその妻

私は、悪魔のような男に出会ってしまいました。そして、魂を抜かれて危うく殺されるところでした。その、恐ろしい体験について書きます。

その男には、とてもきれいな優しい奥さんがいました。しかし、その男は妻を全く愛さず、私のお金目当てに、私に言いよってきました。

男はギャンブル狂いで、二億負けたことがあるそうです。私の資産は、男の格好の餌食となってしまいました。最後には、男は私を傷つけ、狂わせ、故郷から追い出しました。

奥さんについて。奥さんは普通の女性でした。しかし、私は男に、長い間悪いのは奥さんの私への嫉妬であると思わせられました。

マキさん

男は、私をマキさんとよびました。男に故郷を追われてからも、男は執念深く私にとりつき、私が大事に思っていたネックレスの中に入り、マキさん、マキさん、と呪いの声を発しました。

こういうことは、現実であるのです。強い呪いを持った人間、悪魔のような人間は、乗り移るということすらできるのですね。

 

マキさん、その声が気持ち悪くて、しかし、ネックレスを捨てるにしのびなくて、私はハンマーでそのネックレスを叩きました。すると、声は消えたのですが、悪いことばかり起こります。私の大切な今の彼と大げんかしたり、毎日、呪わしい映像ばかり見えます。ついに、私はネックレスを外して捨ててしまいました。

統合失調症

ここでみなさんに打ち明けなければなりません。私もまた正常な人間ではなく、心に悪魔を持っています。統合失調症という、精神病なのです。悪い声が聞こえたりします。

しかし、その男が、「悪い」ということをどこかでわかっていたのでしょうね。だから、断ち切るために、大事なネックレスは犠牲になって私を守ってくれたのでしょうね。

 

私は病気。でも、守られているなあと思うのです。私の主治医の先生は、私が傷ついて死んでしまうことすら覚悟して私の悪魔を怒ってくれました。私は徐々に回復してきました。

私の病気は、物の中から声がするというものです。しかし、病気に守られた。何故なら、そのネックレスの死とともに、「マキさん」と語りかけられることはもうなくなり、私は今を生きているからです。

望郷

でも、私がその悪魔の男を好きだったという事実は何があっても消せません。悪魔などを愛してしまったということは、大きな傷です。その証拠に、私はその男に乗っ取られた故郷が今でもなつかしい。

 

何があったのか手短に書きますと、私はその男と共謀して、いつか大金持ちになって資産を一緒に操ろうとそそのかされていました。私には、その男のずるさと悪さがかっこよく見えていました。しかし、その男は、自分と私が思いあっていることがばれたとたん、自分の資産と地位を守るため、私の精神病を利用して言い逃れたのです。私は、全てを病気のせいにされ、故郷を両親に追われ、精神病院に入れられたのです。

 

望郷。これは、大きな傷です。私はその悪魔を街から追い出してでも、故郷に帰りたい。しかし、新しい土地で得た幸せ。仕事を得て、支えてくれる看護師の所長さん、そして、いつもそばにいて細やかなメールをくれる彼氏。

これだけのものを得たのに、悪魔に心を汚されたことが消えないなんて・・・。

karinomaki
悪魔と病気
0
  • 0円
  • ダウンロード

1 / 5

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • ダウンロード
  • 設定

    文字サイズ

    フォント