ある人とハッピーエンドについて

Uさんについて

私は、Uさんという、とんでもない悪人に恋をしてしまいました。彼は、ギャンブル狂いで、妻子がいました。私は何もしていませんが、とにかく恋をしていたことは、否定はしません。何故、そんな悪い人を好きになってしまったのか・・・私の中にいた、悪魔のせいです。

精神病棟において

私は、Uさんとは、心が通じ合っていました。しかし、Uさんは、それが妻にばれてきたとき、妻子を守るために、全てを私の精神病の妄想のせいにしてしまいました。ショックを受けた私は、自傷して病棟に隔離されました。主治医の先生は激怒して、「君は重症だ」と言いました。

 

私はそれでもなお、その悪い男を心から愛していました。こっそりと部屋にケータイを持ちこんで、愛のメッセージを送りました。返事は一度もなく、その男は見舞いにすら来ませんでした。

 

しかし、恐ろしいことに、退院してからも、私はメールを送り続けてしまいました。やっとメールをやめたとき、その男がどうしようもない男だとわかっていました。どうしてメールなどしてしまったのか・・・決して未練ではありません。私の病魔が、その男に復讐をしていたのです。精神病患者をなめるなという。

 

なぜなら、未練があるふりをし続けて、あるとき、「あなたは私にばかにされていたのです。」と送ってしまったからです。そうして、私はぱったりとメールをやめました。いちばん恐ろしい復讐をしてしまいました。私の精神病は、悪魔の病気なのです。

先生と所長さん

私の病気は、悪魔の病気です。しかし、純粋さを守るための悪です。傷ついて傷ついて生きてきたから、自分を守るために、悪くずるくなって発病したのです。私の主治医の先生と、訪問看護士の所長さんはそのことを知っています。

 

私は、許せないと思った人を、次々と攻撃していたことがあります。そのことを主治医の先生は激しく怒りました。私は泣きながら先生を待っていたのですが、先生は、目も合わさずエレベーターに乗っていきました。もう終わりだと思った私は、先生の診察室には二度と入らないと決め、院長先生に主治医を代えてもらおうとしました。

しかし、次の週の月曜日に、先生は私の病院内の仕事場に現れました。私はそれを見てこそこそと逃げ、外に出ました。その日、私は涙が止まりません。次の日も先生は現れました。私は先生に最後のあいさつをしました。しかし、先生は、「診察で言って下さい」と一言。もうあの冷たい目ではなく、先生の優しい目でした。私はうれしくて、また少し泣きました。あんなに心で愛し合ったのに、私が右目をつぶしかける自傷をしたのに一度も見舞いに来ず、メールにも一度も返事がなかった誠意のない悪い男の醜い精神が、浮き彫りになりました。そして、もう一つ。私が先生を心から信頼していることを本音で喜んでくれる、先生の親友の所長さん、所長さんが私は大好きです。所長さんは、先生にもう一度診察を受けると言ったとき、本当に喜んでくれました。何人ものまわりの誠意ある人を見て、私は本当に善を心に持つ人とそうでない人の違いがわかりました。Uさんへの気持ちは淡雪のようにあとかたもなく消えていきました。

ハッピーエンド

私はディズニー映画をずっとバカにしていました。人生は苦しみの連続とばかり思っていました。確かにそうかもしれません。しかし、想像を絶する苦しみは、長くは続きません。あるとき、悟りのときがきます。自分には、荒波があった。あの人と出会って、自傷して苦しんだ、心を裏切られて病気のせいで片付けられて本心から傷ついたからこそ、今の安定がある。何故なら、悪とは何なのか見極めたから。

 

あの、悪いだけの男と出会って故郷を追われたからこそ、今、数々の出会いと幸せと、真心に囲まれているのだと思うのです。ハッピーエンドというより、一息ついたと言うべきでしょうか。とにかく、私は今幸せです。

karinomaki
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