英語の句動詞入門

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はしがき( 1 / 4 )

はしがき

 

本書はbring about, bring about ~(~を引き起こす), do 

without ~(~なしですます)のような「句動詞」の入門書です。

「句動詞」は日常会話では必須で、大学入試にも頻出します。

 

しかし「句動詞」についての本はあっても、言語学的な専門書であ

ることが多く、なかなか我々一般人が気軽に参考にできるものを見

つけにくいのが現状です。受験・一般用の文法書でも「句動詞」は

触れられていますが、概略が中心で、個々の疑問点が解決するほど

詳しくは書かれていません。

 

日常的に英語に触れれば、必ず即座に解決できない気になる表現に

出会います。自分の経験から3つ例を挙げてみます。例えば

 

1.  Our gas is running out.

 

2.  We are running out of gas.

 

は両方「ガソリンがなくなってきた。」です。1.runに「流れ

る」という意味もあるので、「流れ出る→なくなる」と理解できま

す。


run out なくなる

自動詞+副詞

 

しかし2.は人がSなので、「人が~から走り出る」と考えると、

「人がガソリンから走り出る」で、理屈が合いません。ガソリンは

人にとって必要なものであり、わざわざ自分から走り出るのはおか

しいからです。

  

副詞outは「外へ」から「なくなって」になるのは1.2.に共通だと

推測できますが、2.はまずrunbe動詞に置き換えて考えること

から始めましょう。

 

We are out of gas.

 

こうすると「ガソリンから外にいる→ガソリンから離れている」、

つまり「ガソリンがない」とわかります。このbe動詞をrunに置

き換えると「ガソリンがなくなる」と「状態の変化」を表すことが

できます。


このrunrun short of という表現が参考になります。人がS

なり、物をOに取って「~を切らす=~がなくなる」という意味に

なります。形容詞short(不足した)がrunCで、runCC

いう状態になる)という構文です。したがって、例文2.は「なくな

って」という副詞outCで、「~がなくなる(状態になる)」と

解釈できます。

 

run out of  ~を切らす、~がなくなる

自動詞+前置詞

 

be動詞とrunでは、be動詞はすでになくなっている状態run

なくなるという経過を表現するという違いがあります。このように

run out ofrun out(なくなる)にofが付いたものではないと分

かればすっきり理解できます。以上のことをまとめると、次のよう

になります。

 

be out of

~がない

状態

run out of

~がなくなる

動作

 


 




 


  

 

 

 


  

 


  

 


はしがき( 2 / 4 )

2番目の例はtake it out on ~です。

 

3.  Don’t take it out on me.

八つ当たりしないでよ。

 

take it out on ~に八つ当たりするという意味になります。

take outは「~を取り出す」、onは「接触→方向」なので、最

初の解釈としては「それを取り出して~に向ける」です。itは何を

指すのでしょうか。「状況のit」でしょうか。

 

辞書によっては説明しているものもありますが、これは「怒り、欲

求不満」という感情を指しています。itの指すものがわかれば、

「怒りを取り出して~に向ける」から「~に八つ当たりする」と自

然に理解できます。itOに取ることが多いことから、Oit

含めてtake it out on ~で載ることも多いです。


take out, take out ~(~を取り出す)+on ~(~に)

他動詞+副詞                           前置詞    

take A out[ take out A] on B AB(人)にぶちまける[向ける]

他動詞+副詞+前置詞

= 他動詞+A+副詞+前置詞+B、他動詞+副詞+A+前置詞+B

take it out on  ~に八つ当たりする[当たり散らす]



はしがき( 3 / 4 )

4.  Her family was well off in those days.

彼女の家族はその当時裕福だった。

 

well offは「裕福な」でよく知られている表現で、well off rich

(裕福な)と覚えていても、なぜそういう意味になるのかはっきり

しません。well(うまく、十分に)があるので、なんとなく「裕福

な」という感じはしますが、offはどういう役目かと考えても、

「離れて」から思いつくことがなく、もやもやした状態のままで

す。

 

そこで副詞well, offを含む句動詞を考えてみます。すべて「彼の試

みはうまく行った。」という文意です。

 

His attempt went off well.

 

go off+副詞 (事が)~に運ぶ[進む]

 

His attempt came off.

 

come off (事が)成功する、うまく行く

 

His attempt came off well.

 

come off +副詞 (事が)~という結果になる

 

いずれも自動詞+offで、come offの場合は副詞wellを伴わなくて

も「うまく行く」という意味になります。

 

go off, come offoffは「ある事が離れて」から「ある事が終わっ

」、さらに「ある事が行われて、ある事に成功して」に発展した

ものです。


したがって以下のように考えられます。

 

His attempt went off well.

 

go(進展する)+off(行われて)+well(うまく)

うまく行く

 

His attempt came off.

 

come(近づく)off(成功して)

うまく行く

 

His attempt came off well.

 

come(近づく) off(行われて)+well(うまく)

うまく行く

 

well offgo off well, come off welloff wellと共通と考えて、例

文を分析してみましょう。

 

Her family was well off in those days.

彼女の家族はその当時裕福だった。

 

be(~である)+well(うまく)+off(行われて)

 

人がSになり、「うまく行われていた」から「裕福だった」になっ

たと考えられます。語順がwell offと逆になっているのは副詞well

offを修飾しているからです。be off(行われている)のoff

well(うまく)が前から修飾しているだけです。

 

be well off 裕福である = be rich

自動詞+副詞+副詞

 

しかし、これでもまだすっきりしませんね。そこでさらに似た表現

を捜すと、

 

be well off for  (物)が十分にある

 

があります。例文にfor ~以下を補って考えてみましょう。「裕福

な」ですから、for moneyがわかりやすいと思います。

 

Her family was well off for money in those days.

 

これでようやく「お金に対してうまく行われていた=お金が十分あ

った」から「裕福だった」と納得できます。

 

 

go off well, come off wellの結果としての「状態」を強調したものが

be well offだと整理できます。

 

be well offの反意表現も含めてまとめておきましょう。

 

be well[comfortably] off 裕福である = be rich

自動詞+副詞+副詞

⇔ be badly[poorly] off 貧しい = be poor

 

be well off for  (物)が十分にある

⇔ be badly off for  (物)が不足している

 

反意表現のbe badly offも副詞のwellbadlyになるだけで、考え

方の手順は同じですが、確認しておきましょう。

 

Her family was badly off in those days.

彼女の家族はその当時貧しかった。

 

← Her family was badly off for money in those days.

 

「お金に対して十分に行われていなかった=お金が不足していた」

から「貧しかった」と理解できます。

 

いずれにしても、be well off for ~からいきなりbe well offを考え

るのではなく、時間がかかっても、副詞offのコア(行われて、成

功して)を理解することから始めましょう。そうしなければ、本質

的な句動詞の理解につながらず、同じイメージを持つoffを含む句

動詞に応用が利かないからです。

 

例えば、be, go, comeと対になる次のような他動詞bring, carry, pull

を含む表現

 

5.  He brought[carried, pulled] his attempt off.

彼は自分の試みをうまく成し遂げた[成功させた]

 

offが「行われて、成功して」とわかっていれば、「~を持って

来る[運ぶ、引く]」という動詞のイメージが違うだけで、簡単に理

解できます。

 

bring[carry, pull] off, bring[carry, pull] off  

~をうまく成し遂げる[成功させる]

他動詞+副詞


はしがき( 4 / 4 )

以上のように句動詞の理解に悩む経験は誰でもあると思いますが、

仕事でなければ時間を取って調べようという気にならないでしょう

し、受験であればとりあえず意味だけ覚えておこうとなるのは当然

です。そこで句動詞学習の経験から、難しい言葉を使わず、かみく

だいてまとめてみようと試みたのが本書です。

 

自分なりに英語学習で得た句動詞を考える上での要領は今までの説

明で少しわかってもらえたと思いますが、

 

視点を変える、省略を補う

 

の2点です。

                                                                                                                            ねこちゃん



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