エロゴルフ(1)

クラブミニスカ

 

 植木の頭の中には、コンパニオンのオーラルサービスの妄想がますます膨れ上がり、股間は抑えきれないほど盛り上がっていた。このままでは、勢力旺盛な植木は眠れそうもなかった。「会長、今夜あたり、中洲っていうのはいかがでしょう。結構有名なAV 女優が東京からやってきているそうです。もう、予約でいっぱいだと思いますが、確かめてみましょうか?」松山も大原の美白巨乳と真っ赤なショーツが脳裏に焼き付いて興奮が収まらなかった。「スケベジジイには、目の毒だ。ロシア美人の股間を見せつけられたんじゃ、鼻血が出るところだった。それにしても、透き通る肌とは、あ~いうのを言うんだな。死ぬまでに一度でいいから、ロシア美人とやってみたいよな」

 

「予約には、ちょっと遅いとは思いますが、例の店、確認してみましょうか?」植木は、右手の小指を立てて、ニコッと笑顔を作った。松山は、金曜日で予約がいっぱいだとは思ったが、行きつけの店を当たらせることにした。「そうだよな。久々にカチンカチンだ。ちょっと、例の店、確認してくれ」植木は、ポンと手を叩き、スマホで即座に行きつけの店を確認した。行きつけの店は、予約でいっぱいだったため、中洲一番の超高級店に電話した。「会長、やはり、例の店は予約でいっぱいでした。バカ高い店は、予約できますが、いかがいたしますか?」

 

松山は、中洲で有名な最も高い店と聞かされ、ちょっとためらってしまった。松山が考え込んでいると、植木はF大学の後輩で、マージャン仲間のジャーナリストから聞いたクラブを思い出した。「会長、クラブはどうでしょう。知り合いから聞いたのですが、そこのママは、アムロに似た美人だそうです。知り合いに連絡を取ってみましょうか?」この興奮は、おさまりそうになかったが、植木の知り合いのジャーナリストに会ってみたくなった。「まあ、ソープは、いつでも行けるしな。その知り合いと飲むっていうのもいいんじゃないか。連絡とってくれ」

 

植木は、早速、ジャーナリストの岡崎に電話した。「会長、運良く、今朝東京から戻ったところで、今夜7時以降は、時間が取れるそうです。いかがいたします」松山は、即座にうなずいた。植木は午後8時にクラブで落ち合う約束を取った。「会長、今夜、8時の約束を取りました。それと、ゴルフ仲間の医者を紹介したいと言ってました。私は、仕事を終えて、別荘に6時に参ります」植木がそそくさと立ち去ると松山は座禅を組み瞑想にふけった。

午後六時半に二人は、伊都タクシーで西中洲の“クラブミニスカ”に向かった。親不孝ビルのエレベーターに飛び乗ると5階をプッシュした。エレベーターを降りると左手に“クラブミニスカ”のドアがあった。植木がドアを開けるとアフロヘアの背の高いボーイが声をかけた。「会員様でいらっしゃいますか?」植木が会員の岡崎と待ち合わせていると伝えると二人は右側奥のテーブルに案内された。二人がソファーに腰かけると即座に二人の超ミニスカのJKのような初々しいホステスが飛び込んできた。

 

子猫のようにすり寄り植木の手を取った小柄なホステスが話しかけた。「岡ちゃんのお友達ね。もう来ると思うわ。あちらの方は、すっごく渋いわね。社長さん?」植木は、子供のような顔つきのホステスに面食らったが、JKに手を握られたようで、股間が盛り上がってしまった。「こちらは、伊都タクシーの会長です。私は、会長の秘書のようなものです。よろしく」松山の横に腰かけたスリムなホステスが、大げさなお世辞を言った。「会長さん、ステキ。渋い男性に弱いの。ああ~~、濡れちゃう」

 

植木は、もっと洗練されたホステスのいるクラブと思っていたが、JKのようなホステスにどのように話しかけていいか戸惑ってしまった。松山も場違いな場所にやってきたというような顔をしていると、カウンターから真っ赤なロングドレスの女性が笑顔でやってきた。彼女がテーブルに近づくと小柄なホステスが甲高い声で彼女を紹介した。「こちらが、中洲ナンバーワンの美人ママ」ママは、軽くお辞儀すると二人の正面に腰かけ、挨拶した。「ママのナミエです。岡崎様から、お二人のことはうかがっております。もうしばらくお持ちください」ママは、二人のホステスに目配せするとカウンターに戻って行った。

 

松山は、クラブにしてはホステスが若すぎるのではないかと横の能天気な顔をじろっと見つめた。その視線に気づいた彼女は目を丸くして甲高い声を発した。「そんなに見つめちゃ、感じちゃう。はい、どうぞ」ウイスキーの水割りを差し出した。おじさんがJKをナンパしているようでちょっと気恥ずかしくなった松山だったが、無理に笑顔を作り返事した。「ありがとう。ウイスキーもいいが、ブランデーにしてくれ」クレームと受け取ったホステスは、顔を引きつらせ、即座に謝った。「申し訳ありません。すぐにブランデーをお持ちいたします」頭をぺこぺこと下げ、カウンターに向かっていった。

 

松山は、ほぼ毎日、ストレートのブランデーをゆっくりとすこしずつ飲む。カウンターから戻ってきたスリムなホステスは、グラスにブランデーを注ぎ、氷を入れようとした。松山は、即座に声をかけた。「いや、氷はいい」ホステスは、おどおどしてグラスを手渡した。グラスを受け取った松山は、香りを嗅ぐとゆっくりと口に含んだ。植木は、腕時計を見ては、しかめっ面をしていた。すでに、810分を過ぎていた。植木が、待ち合わせ時間を勘違いしたのではないかと考えていると腕の長いヒョロッとしたイケメン男性とともに岡崎がやってきた。

 

「いやー、待たせたね。ゴメン、ゴメン」二人の正面に岡崎とイケメン男性が腰かけると岡崎は、イケメン男性を紹介した。「こちらは、中洲総合病院の吉岡先生」松山と植木が視線を向けると背筋を伸ばし両手を膝の上にそろえ吉岡は挨拶した。「吉岡と申します。岡崎君とは、小学校からの親友です。よろしくお願いします」生真面目な吉岡を気遣って、岡崎は場を盛り上げようと博多弁で話し始めた。「吉岡は医者の息子で、秀才たい。中学は、鹿児島の名門R中学に行くことになっとったバッテン、こいつは、義理と人情に厚い奴たい。親に反対して、俺と一緒の中学にいったばい。でも、さすが吉岡、地元T高校からK 大学医学部たい。こいつは、たいしたもんばい。それに、イケメンやし。めっちゃ、モテルけん。うらやましか~~」

 

植木は、吉岡を見つめうなずいた。「お医者さんでいらっしゃるんですね。毎日、気苦労が絶えないでしょうね。こちらは、伊都タクシーの松山会長です。私は、専務の植木です。よろしくお願いします」医者と聞いた植木は、吉岡から議員の話が聞き出せるのではないかと思い、酔いが回ったころ、徐々に聞き出すことにした。「岡崎さんは、今朝東京から戻られたそうで。やはり、お仕事で」岡崎は、頭をかきながら返事した。「まあ、仕事と言えば、かっこいいのですが、同じジャーナリスト仲間から極秘情報とやらを入手しに、まあ、そんなところです」

 

植木か政治の話を始めるのではないかと懸念した松山は、話に割り込んだ。「固い話は、つまらん。吉岡さんもゴルフをなされるそうで」突然笑顔を作った岡崎が、吉岡の返事を待たず話し始めた。「やりますとも。吉岡は、なかなかのもんです。834で回ります。私は、バクチゴルフですから、やっと、90切るぐらいです。松山様は、日本オープンに出られたトップアマでいらっしゃるとか。いつも、植木さんが、自慢されています」松山は、自分を売り込んだみたいで気まずくなったが、ゴルフの話で場を盛り上げることにした。

 

「まあ、ゴルフしか、能がないもので。健康のために、週に一回は、ラウンドしています。ぜひとも、御一緒にラウンドさせていただきたいものです」褒められた松山は、謙遜して返事した。高校からゴルフをやっている吉岡は、頭をかきながら返事した。「ゴルフ歴は長いんですが、一向に上達しません。ぜひ、ご教授をお願いします」植木は、ゴルフの話が出たついでに皇帝KGBゴルフ倶楽部会員について聞くことにした。「国際経済のことは、ちょっと疎いのでお聞きしたいのですが。岡崎さん、皇帝KGBゴルフ倶楽部と言うのをご存知ですか?私どもは、そこの会員権を購入いたしました。将来性はありますか?」

 

岡崎は、今、世界各国に攻勢をかけているロシア皇帝KGBカンパニーについての情報を集めていた。皇帝KGBゴルフ倶楽部会員権を日本でも多くの政財界人が購入しているということで、今後、日本のゴルフ産業が危機に陥ってしまうのではないかと懸念されていた。「そうですか。お宅様も会員に。皇帝KGBゴルフ倶楽部は、ロシア皇帝KGBカンパニーの傘下にあるレジャー企業の一つでして、そこの株価は急上昇しています。まだ、日本には進出していませんが、いずれ、日本法人皇帝KGBゴルフ倶楽部ができると思われます。そうなれば、競合に負けた日本のゴルフ企業は、ロシア皇帝KGBカンパニーの傘下に入ってしまうのではないかと危惧されています」

 

植木は、小さくうなずきながら、次の質問を考えていた。「そうですか。ロシア皇帝KGBカンパニーとは、有望株の多国籍企業と言うことですね。と言うことは、その傘下にある皇帝KGBゴルフ倶楽部の会員権価額は、上昇するとみていいですね」腕組みをした岡崎は、マジな顔つきになり返事した。「確かに、相場は上昇すると思います。そのことを見込んで世界中の資産家が、投資しています。余談ですが、ロシア皇帝KGBカンパニーは、アメリカの軍事企業や石油会社の株も買い占めています。そう、さらに、カジノ経営、風俗産業にも手を広げているようです。我々ジャーナリストの間では、ロシアモンスターと呼んでいます」

 

植木は、じっと耳を澄まして話に聞き入っていた。鋭い目つきから、突然、ニコッと笑顔を作ると質問した。「ところで、岡崎さんは、タイの皇帝KGBゴルフ倶楽部のコンパニオンについてお聞きになったことがありますか?」岡崎もニコッと笑顔を作り返事した。「聞いたことがあります。キャディーのほかにエロエロサービスのコンパニオンがつくらしいですね。なんとも贅沢な話です。私も、そういうところでプレーしたいものです。植木さんたちがうらやましいです。そう、吉岡も勧誘されたそうです。断ったそうですが」

春日信彦
作家:春日信彦
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